人は時として、最愛の人と別れなければならない時があります。それがどんなに辛いことであっても、別れなければならない時があります。私の場合は、最愛の彼女との身を引き裂かれるような別れが、その数週間後に破局的な結果をもたらすことになるとは、この時は全く知る由もありませんでした。
人生で最も愛した女性
彼女と12歳の時に初めて出会った時は、特に何とも思っていませんでした。2年間部活で苦楽を共にし、中2から2年間クラスメートで、たしかに、中2の時に足に全治8カ月の重傷を負って落ち込んでいた時に、彼女から励まされて救われたこともありますが、中学3年間で彼女を意識したことは一度もありませんでした。同じ高校に進学してからも、彼女とは5月に一度だけ会話を交わしただけで、その後の半年間、彼女のことはほとんど頭から抜けていました。その彼女と11月に再会してから僅か一ヶ月足らずで、私は彼女のことで頭がいっぱいになり、彼女のことを死ぬほど好きになっていました。初めて会ってから3年7カ月もの間、特に意識して来なかった女性を、僅か一ヶ月足らずで、これほど好きになってしまうことなんてあるのかと、自分でも信じられませんでした。
最後の別れ
その日は終業式の前日で、空手同好会の練習を外でしていました。
会長「あの子、Tの彼女じゃない?」
会長が、遠くで剣道部の女子部員達と楽しそうに話しているKさんを見つけます。
先輩A「あの子、可愛いからすぐ分るよな」
会長「あんな可愛い子に好かれてていいよなTは」
この時は、Kさんの顔を見るのが辛かったので後ろを向いていました。
会長「あっ、彼女、Tに気付いたみたいよ、こっちに手振ってる」
彼女の顔が辛くて見れなかったので、彼女のことを無視していました。
会長「手振ってあげなよT。お前が無視してるから、彼女寂しそうな顔してるよ」
先輩B「手振れよT」
先輩A「T、さっさと手振れよ、彼女泣かす気かよ」
彼女の方を向いて手を振ります。
会長「Tが手振ったら、あんなに嬉しそうに喜んでるよ彼女。あの子、本当にお前のことが好きなんだな」
先輩B「T、お前、あんな可愛い彼女無視するとか、鬼かよ」
会長「ほら、彼女のところに行って謝って来なよ、無視してゴメンねって」
筆者「部活のみんなと楽しそうにしているところに俺なんかが行っても、彼女の迷惑になるだけですよ」
会長「そうかなぁ、Tが行ってあげたら彼女大喜びすると思うけど。あっ、そっか、あんな大勢の前で彼女に抱き付かれちゃったら恥ずかしいかw」
みんなが笑っている間、私は心の中で「N、良かったな、部活辞めないで本当に良かったな、今の君は最高に輝いているよ」と呟いていました。
会長「あれ?T、お前泣いてるの?」
先輩A「何でお前泣いてんだよw」
先輩B「彼女の胸で泣かせてもらえよw」
これが彼女を見た最後でした。ただ、この時はまだ、私が如何に彼女のことを愛していたのかと言うことに、私自身が全く気付いていませんでした。転校すれば彼女のことを忘れられると思った私の考えが、如何に甘かったかということを、私はこの数週間後に嫌というほど思い知らされることになります。


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