ジャンキーなルームメイトの音楽騒音に悩まされていた私は、この地獄のような寮生活から抜け出すことを考え続けていましたが、寮を出てアパートを借りるという、経済的にも物理的にも実現不可能な選択肢しかなく、為す術無しで途方に暮れていました。
ルームメイトの退寮
ルームメイトが入寮して来て2週間ぐらい過ぎた頃、授業が終わって部屋に戻ってみると、ルームメイトが手紙のようなものを見ながら泣いていました。その時の私はその光景を見て、「彼女にでも振られたのかな?」ぐらいにしか思っていませんでした。翌朝、いつもは私より先に部屋を出て行くルームメイトがベッドで寝ていたので、「今日は学校休むのかな?」みたいに思いながら部屋を出て行きます。授業が終わって部屋に戻ってみると、部屋のドアが開けっぱなしになっていることに驚かされます。慌てて中に入ると、ルームメイトの荷物が全てなくなっていることに気付きます。ルームメイトがドアを閉めずに出て行ったのかと思い、ガランとした部屋の中を見て、これで今日からうるさい音楽に悩まされることなく、部屋で勉強もできるし安眠もできることを、神様ありがとう!と神に感謝します。机の上に鞄を置いて椅子に座り、夕食までの間リスニングの勉強をすることにします。
盗難被害に遭う
その時、机の上にあるはずのポータブルCDがなくなっていることに気付きます。まじかっ!?と思い、部屋中探しますが見つからず、引き出しの中の財布を調べると、現金がなくなっていることにかなり焦ります。日本語でサインしてあるトラベラーズチェックは盗まれていませんでした。他に盗まれている物がないか確認作業を進めると、小切手の冊子がなくなっていることに気付きます。事態を重く見た私は、急いでRA(Resident Assistant)の所に行って、盗難被害に遭ったことを説明します。しかし、RAは”Fuck, fuck”を連呼するだけで何もしようとしないので、ダメだこりゃと思いISAのところへ行きます。ISAに小切手が盗まれたと言うと、急いで銀行に行くことになり、車の中で本当に小切手は盗まれたのかと何度も念を押されますが、本当に盗まれていたので間違いなく盗まれたと答えます。銀行で口座閉鎖の手続きをするのですが、銀行員から「バウンスした小切手が送られてきても無視していればいい」と言われます。小切手を不正使用された店や個人が悪いので、私には何の責任もないとの事でしたが、何か申し訳ないというか悪いような気がしていました。
被害届
盗難被害発覚後すぐに銀行口座を閉鎖したことで、これ以上実害を受けることはなくなったのですが、私の中に何か漠然とした違和感が残っていました。次の日、女性の先生に盗難被害に遭ったことを話すと、警察に被害届を出したのか?といったようなことを聞かれます。前日の違和感の正体はこれでした。私が警察には通報していないと言うと、彼女が怒ったような表情になり、二人でISAのところに行くことになります。先生がISAに、何で警察に通穂しないのか?と詰め寄ると、ISAは、警察沙汰にはしたくないような感じなことをほのめかしていました。業を煮やした先生が私に「今から一緒に警察に行って被害届を出しに行く?警察に被害届を出せば盗難保険が使えるようになるから出した方がいい」と言われますが、警察沙汰にして寮に警察官が来たら周囲の目が気になるし、英語も話せないのに事情聴取されるのが面倒臭そうだったので、警察に行って被害届を出すことを断ることにします。先生に、「今回のことでこの国を嫌いにならないでね」と言われますが、人生初の盗難被害に遭ったことはかなりショックでした。
ルームメイトが犯人だとは思ったのですが、部屋のドアが開いていたので、誰でも自由に出入りできたことも確かなので、当初は誰が犯人かは分かりませんでしたが、しばらく経ってからバウンスした小切手がどんどん送られてきて、不正使用された店の住所がルームメイトの実家の住所の近くだったことから、犯人がルームメイトであることがほぼ確定します。本当にとんでもないルームメイトでした。


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